吉祥寺のシェアオフィス-KN-lab-
吉祥寺中道通り沿いのビルの地下1階を飲食店舗からオフィスへ用途変更(コンバージョン)したスケルトンリフォーム(リノベーション)です。
ブース状の個室が14室と共用のラウンジスペース、トイレ・洗面、電話ブース、喫煙ブースで構成されています。
共用のラウンジスペースはブース入居者の打合せや商談だけでなく、ちょっとしたワークショップやレクチャー、イベント等多目的に使えるように配慮しました。
築40年を超えたRC造雑居ビルの地下1階で以前は人気のレストランが入っていたらしいのですが、閉店後は次のテナントが入らず困っていました。にぎわいのある通りに面した場所を空けたままにしたくないので有効な活用方法を考えて欲しいとのことでした。
新宿歌舞伎町の雑居ビルでの不幸な火災の後、東京都建築安全条例が改正になったため、現状では2方向避難が確保出来ず以前のような飲食店舗や物販店舗の用途は建築不可のため、事務所やサービス店舗等の建築可能な用途で成立する事業計画を紹介して頂いた不動産会社の担当者と一緒に検討しました。コストや設備計画上も完全個室は難しかったのでブースで間仕切ったシェアオフィスを提案したところ気に入っていただけました。
ローコストであるため施工会社とも入念に打合せを行い、シンプルでラフな空間を目指しました。壁・天井は白ペンキ塗り、床はOSBボード貼で仕上げています。ラウンジスペースのテーブルとイスはオフィス運営会社の代表が知り合いの方からたまたま店舗移転のタイミングで不要になったものを譲っていただいたものを使わせていただきました。不動産会社の社長や担当者・運営会社の代表など地元有志の協力が大変有難かったです。
私たちの事務所もここにブースを借りることにして利用者としても関わることにしました。
オープニングパーティーの席上で依頼者が「長い間空いてしまっていた空間が賑わいを取り戻して様々な方に使って頂けるのが嬉しい。そして吉祥寺の街や人に私が何かしらの貢献が出来ているのであれば尚嬉しい」とおっしゃってくださいました。
工期や予算の面では依頼者にも御苦労をおかけしていましたので、この言葉を聞けてホッとしたことを覚えています。
各ブースの扉はナチュラルな木製とし、気配は感じながらも視線を遮るようコストも考慮してプラベニヤを用いました。ブース番号はカッティングシートで製作したものを私たちがセルフで貼りました。
各ブース内は入居者が自由に設えることにしており、壁のプラスターボード素地仕上のままです。当事務所が入居するブースではデスク前の壁を図面や書類をピン止めできるようコルクタイル貼としました。また木製の書類棚も別途で製作していただきました。
地下へ降りるエントランス扉の上部には照明器具を生かしたサインをデザインしました。
取付ボルトは実際はダミーでサインの施工会社が遊び心で3Dプリンターで作ってくれました。
赤色が賑わいのある中道通り沿いのアクセントになっています。